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紀州犬は心にしみる犬だ「犬は人を咬んではいけないが人を咬むこともある」
[ 紀州犬物語(紀州犬はいい犬です)(2) ](執筆 横田俊英)




(副題)
咬まない紀州犬もいるが全てではない 対に人に危害を加えない紀州犬が望ましい


 犬には歯があるので、犬が人を咬む事故が起きます。土佐犬が飼い主を咬んで死なせた事件がありましたが、闘犬を含めて犬が人を咬む事故はなくなりそうもありません。ですから犬は人を咬むという認識を消去するわけにはいかないのが現状です。

 犬が人を咬んだ場合の事故の大きさは、犬のサイズに比例するといってよいでしょう。顎(あご)の発達した犬ほど咬む力が強いからです。赤子や幼児などが相手であれば、小さな犬が攻撃した場合でも死亡事故につながることがあります。従って犬と赤子や幼児を人の監視のない状態にして置いてはいけません。TOPへ戻る

 普段はおとなしく、人に危害を加えることがない犬でも、何かの弾みで人を咬むことが考えられるからです。犬は目の前をパッと動くものにとっさに反応することがよくあります。犬と赤子あるいは幼児の間での事故はどのような場面で発生するか予測困難です。

 犬の咬む力、あるいは歯の強さというのは一般の人の想像以上のものです。馬の骨を与えますと、これをあっさりとかみ砕いて食べ尽くしてしまいます。骨をかじるときの音は迫力があります。牛のひずめなども顎を発達させるために与えることがありますが、石より硬いと思われるひずめを犬はあっさり食べてしまいます。

 その昔、つまり石器時代に犬は人の住居の周りにたむろして、人が捨てた骨や残飯を食べていたものと考えられています。

 そして、紀州犬の歯と顎の強さは尋常ではありませんよ。

 イノシシの後肢に咬み付いてその骨を簡単に砕いてしまいます。こうした狩りの仕方ですと、鉄砲を使わなくてもイノシシを捕ることができるのです。これを咬みどめ、といいますが、この方式の狩りをしますと紀州犬の傷みもまた激しいのです。ある方は咬みどめをさせると犬の治療代が大変だ、といっています。

 利口な、あるは経験をつんだイノシシは狭い場所に紀州犬をおびき寄せて、前進後退しかできない場所で逆襲をするのです。これをやられたら大概の紀州犬はひとたまりもありません。大怪我を負わせれること必定です。イノシシの牙は剃刀のようでもあり、角のようでもあるのです。牙を顔にあてられますと穴が空きますし、腹部にあてられますと刃物で切ったように裂かれてしまいます。このような狩りをしますと紀州犬の消耗度は激しいのです。

 横道に逸れましたが、先の説明により紀州犬の歯牙や顎の機能がお分かりいただけると思います。

 そうした歯牙を使って、咬みにでる犬の攻撃力の前には、人の皮膚は弱過ぎます。そしてまた犬同士が咬み合いをしている時には絶対に手を出してはいけません。骨まで咬み砕かれてしまうほど危険なのです。

 それで犬が人を咬む話です。

 ある犬は雷が鳴りだすと動転してそこいらじゅうに居る人々を手当たり次第に咬むのだと、ラジオが飼い主の話を伝えていました。似たようなことですが、私の知り合いの紀州犬は、雷が鳴ったり、花火のドーンという大きな音がすると、網戸を破って家の中に飛び込むのだそうです。普段は泰然自若とした名犬なのですが、そのような犬でも雷などに怯えるのです。これは犬の先祖が狼であったことに由来する習性であると言われております。

 犬の祖先が狼であり、犬には歯があるとすれば、犬は人を咬むこともある、ということになります。それは人が人を傷つけたり、殺したりすることと同じようなものです。人はその昔狩猟をしていたので、人間の意識の深層に攻撃性が潜んでいるという説をとなえる心理学者がいます。

 先日、紀州犬を飼う仲間で懇談していたときに、あるご婦人が「散歩のときに、あの犬は紀州犬だから危険だ」といわれたのが悔しいと涙を流していました。TOPへ戻る

 紀州犬に限らず犬は出会いがしらに何かの弾み咬み合うことがあるものです。柴犬だって咬み合いますし、シェバードだってそうです。ラブラドールやゴールデンだって変わりません。どんな犬だって犬は何かの弾みで犬同士咬み合いますし、時には人を咬みます。ラブラドールやゴールデンはおとなしいと飼い主が決めてかかっていることが多いものですから、引き綱から離して呑気に散歩している者がいます。事故が起きないのは単なる偶然の産物に過ぎません。わたしは、ラブやゴールデンの事故の多さを耳にしています。TOPへ戻る

 若い女性を咬んだ犬がいるのですが、飼い主はお詫びと深い反省から、その犬の歯を歯茎のところまで削ってしまいました。当然、犬歯はありませんし、他の歯も尖って居ません。歯牙は上部を削られて板のようになっていました。飼い主の立場からは、偶然にしても犬が人を咬むことがあってはなりません。

 犬が咬んだ時の事故の大きさは、先ほども触れましたように、犬の大きさに比例しますし、また顎の強さに比例します。   このこととは別にして、犬には穏やかな性質の犬種がありますし、同じ犬種でも穏やかな性質のものと、そうでないものとがあります。ラブラドールは穏やかな性質ですし、土佐犬は闘犬ですから、なかなかのきかん気での犬です。このことは事実ですが、だからといってラブラドールのすべてが咬まないかといいますとこれは否です。咬む犬がいるのです。それも少なからずですよ。

 犬は環境次第で性格が変わります。人に危害を加え続けられた犬は人を避けますし、人を敵だと思っています。こうした犬は犬種に関係なく、状況によっては人に攻撃を加えるようになります。TOPへ戻る

 すべての犬は何かの条件があると人を咬みます。これが前提ですが、矛盾した言い方になりますけれど、犬種は別にして咬まない犬だってあります。咬む犬は咬みますし、咬まない犬は咬まないのです。まあ、これは程度の問題なのですがね。  いろいろ述べてきましたが、人に危害を加える犬はコンパニオンドッグとしては絶対に好ましくないのです。人を咬む犬はコンパニオンドッグとしては子孫を残したくないことになります。

 人を、あるいは相手の犬を咬まない犬を、手に入れようとすると、両親犬の系統を調査しなくてはなりません。咬まない犬を探そうとすると、これはなかなか難しいことになるのです。一般の人がそうした犬を手に入れようとすると、信頼できる人をつてに子犬を捜すことになります。そうして探した犬でも絶対に咬まないとは言い切れないのが現実でもあるのです。

 紀州犬は凶暴だといわれて涙を流していたご婦人の話をしましたが、紀州犬が人を咬まないかと問われると、その返事は紀州犬を含めて犬は人を咬むこともあるというしかありません。TOPへ戻る

 私の所の紀州犬の雌犬は3歳近くになりますが、人に歯をたてたことがありません。一緒に育った柴犬の雌とは飼い主の愛情の奪い合いその他で子犬時代にときどきどドンパチやりましたが、人やよその犬に歯をむき出したり、うなり声を発したことはありません。

 紀州犬の中には、あるいは柴犬でも、洋犬でも人を咬む犬がいることは事実です。このような事実がある以上、紀州犬や柴犬は人を咬まないとは言い切れないのです。

 明確に言えることは、私のところの紀州犬の雌は、人にもよその犬にも敵意をむき出しにしたことがないということです。それから二頭の紀州犬の雄犬も人を咬んだことがありません。また柴犬の雌も人を咬む行動にでたことがありませんし、人にうなり声をあげたこともありません。

 そのような飼い犬たちですが、紀州犬の雄犬たちは、警戒体勢にはいりますと背中の毛を逆立てます。そのようにして相手の犬が向かってくると心中では身構えてるのです、しかし実際に咬み合ったことはありません。

 これら紀州犬の雄犬たちは、人のいないところでも引き綱を離したことがありません。離しても何ともない、という自信などないからです。警戒して毛を逆立てる犬が、他の犬とやり合わない保証などないからです。そしてどんな犬でも何かの弾みで人を咬むことだってあるからです。

 私の所の紀州犬の雄犬は、イノシシとのやり合いを経験しております。雄犬はイノシシを見るなり、声も発せずに正面から突撃して行きました。イノシシの反撃で後退したところで犬を回収しましたが、後で身体を調べたら脇腹に20cmほどのかすり傷が付いていました。イノシシの牙で腹を裂かれる犬は多いのです。TOPへ戻る

 裂かれた腹から腸が出て引きずるようになると、これが行動の妨げになるものですから、その犬ははみ出した腸を食いちぎってイノシシに立ち向かった、という話を作家の戸川幸夫氏が小説に書いています。この犬は薩摩犬という日本犬でしたが、獲物に立ち向かう時の日本犬の精神の有り用は、神そのものと言ってよいほど神々しいのです。戦いのためにはわが命を惜しまず、という武士道に精神を薩摩犬は宿していたのです。

 話が変わりますが、町中でも、どこででも引き綱から離して扱える紀州犬の雄犬がいたとしたら、それは素晴らしいことです。姿・形がよい上にそのような性質の紀州犬がいればそれは本当に素晴らしい。そして、その紀州犬がイノシシにはちゃんと立ち向かうのであれば尚更素晴らしいことです。

 人に危害を加えず、挑んでくる犬を無視して、飼い主に寄り添い、飼い主を守るという紀州犬を夢見て、繁殖を続けている紀州犬飼育家がおります。まだまだ理想を実現してはいないようですが、よい犬を育てています。

(2001年7月13日 横田俊英)



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